東大合格体験記(都市工学科編入)

 

はじめまして。cotです。

令和4年度の東大編入試験に合格したので一応体験記として残しておきます。これから受験される方の参考になれば幸いです。

 

僕が在籍する大島商船は進学にはあまり強くない高専です。学力試験による進学実績は2年前に筑波大学に行った先輩と、今年東大に受かった僕ぐらいですし、両方ともそもそも受験すること自体が史上初らしいです。

この記事は、同じようにあまり進学に強くない高専から旧帝大レベルの大学を受験する方には参考になると思います。

 


初期状態(1~2年)勉強時間(ほぼ0)

勉強を始めたのは2年生が終わった後の春休みです。

このときは進学を考えておらず、勉強も全くしていなかったため

成績は散々でした。1,2年生の間は慣れない寮生活に苦労した記憶と、

部活(剣道)とゲームに2年間を捧げた記憶しか有りません。つまりカスです。

席次は1年のときが15位、2年のときが13位でした。

 


2年春休み(7h/day)

この頃から高専での生活にも慣れ、色々なことが落ち着いて生活に余裕が生まれました。自分を見つめ直して将来のことを考えるように成りました。

 

そこで、「とりあえずTOEICを取っておけば進学でも就職でも使える」と考え、

英語の勉強を始めました。

 

この当時は勉強方法も良くわからなかったため、

とりあえず持っていた550頁程ある文法書(best avenue)を一通り 読んで理解しました。(アホ)

その後TOEICの模試を解きましたが刃が立たなかったため、勉強方法を見直しました。

 

ここから使ったのは関先生の「世界一分かりやすいシリーズ」を一通りと、

「金フレ」、「世界一分かりやすいtoeicテストの英単語」、「ロイヤル英文法(演習)」

です。

これでtoeicでスコアを出すにはどんな勉強をすれば良いのかが大体分かりました。

春休みでこれらは一通り終わらせました。

 


使った参考書

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覚醒(3年)勉強時間(平日6h/day,休日(8~10h/day)

春休みが終わって3年生に成りました。このときから、数学の担当の先生が剣道部の顧問の先生に変わりました。

この先生の授業が面白くて、質問に行くと真摯に答えてくれたり、授業で扱わない複素関数の話を個人的に教えてくれたりしました。

そのため3年時は主に数学の勉強をしていました。

高専で使う微分積分1、微分積分2、線形代数の教科書、問題集は3ヶ月ぐらいで終わってしまったため、大学範囲の複素関数、確率を一通り勉強しました。

また、学校で配る問題集も前期の間に終わってしまったので、「大学編入数学徹底演習」を一周しました。

この頃が一番楽しく勉強していたと思います。大学編入試験を意識し始めたのもこの頃でした。

また、この頃はyoutubeをよく見て勉強方法の参考にしていたのですが、

「東大博士カリス」のチャンネルを見つけたことが大きなアドバンテージに成りました。

16歳で東大に合格したカリス(韓国人)の「英語勉強方法」の動画のおかげで英語の勉強効率が大きく上がりました。

東大を意識するようになったのもカリスのyoutubeを見つけたことがきっかけでした。

 

それと、この頃中国地区高専英語弁論大会に出場して”Growth Mindset”についてプレゼンをして、3位入賞しました。

結果は微妙でしたが、”Growth Mindset”についてプレゼンをすることを通して自分のマインドセットについて考える良い機会に成りました。

「勉強って結局才能ゲーじゃん」「自分なんて頑張ってもどうせダメだ」って成った時にはこの動画を見るとやる気が出ると思うのでおすすめです。

 

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この頃は筑波大学を目指していたので、物理も勉強していました。(今は何も覚えてない)

 


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3年次の席次

2位

 

3年生のときに2度TOEICに申し込みましたが、コロナの影響で2回とも落選しました。


地獄の浪人生活(4年)勉強時間(6~8h/day)

4年生に成りましたがコロナの影響で対面での学校は再開せず、リモート授業に成りました。

日頃は寮生活をしている僕にとっては、リモート化は人間関係の消滅を意味します。

また、4年生に成って受験勉強が始まりました。

つまり、「浪人生活」のスタートです。

 

この頃は3年時とは違って「受かるための勉強」をしていました。正直あまり楽しくなくてキツかったです。世の中の受験生は本当に凄いと思いました。

また、この頃母親に割りかし深刻な癌が見つかりました。(手術が成功したので今は大丈夫です。医学ってすごいw)

当時は親が亡くなるかもしれないストレスと受験のストレスとリモート化のストレスを1人で抱えていたのでかなりしんどかったです。しかし、

「出来ない、出来ないが口癖の傷の舐めあいがしたいだけの雑魚に成るな」

というカリスの言葉を聞いて頑張れました。

 

この頃、クラスの女の子に「繊細なんだね~」と言われたことが有りますが、それは僕が繊細だからではなくて、地獄の浪人生活で精神が疲弊していただけですw。

 

このときは正直、豊橋の学費免除の推薦を狙うか、東大に挑戦するかを悩んでいました。また、3回目に申し込んだTOEICがやっと当選して初めてのTOEICに挑みました。

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4年の席次

4位

TOEIC 815 

 

授業のリモート化で席次が下がりました。

正直、4位は妥当な順位だとは思いませんでしたが、初めてのリモート化で学校も慣れておらず、通知が無い課題、カンニングし放題な試験等、滅茶苦茶で不条理だらけでした。

 

大島商船からは基本的に豊橋、長岡への推薦での進学がメインで、学力試験を受ける学生があまりいません。学校の先生方も僕が東大を受けることに対して基本的に否定的でした(もちろん応援して下さった先生方もたくさんいます)が、席次の件とこの事で頭に来た僕は「東大以外の選択肢は無い」と思うように成りました。(もちろん豊橋は本当に魅力的な大学です)

4年次の成績が下がって豊橋の推薦が狙えなくなったことも東大を受ける覚悟が決まる要因となりました。そういった意味では、席次が下がったのは良かったのかもしれません。

 

又、この頃に志望学科を社会基盤か都市工学のどちらかにしようと決めました。

 

3年時に僕のクラスで英語の担当をされていた先生が、文化人類学を専門にされており、この先生と話すうちにテクノロジーについて更に学ぶよりも、テクノロジーと人間との関係や社会のあり方、人を取り巻く環境のあり方について学びたいと考える様に成ったためです。

 

この先生は東大に合格して報告に行くと本当に喜んでくれたのでかなり嬉しかったです。


直前期(5年)勉強時間(平日5h/day,休日6h/day)

 5年生に成った時には、一通りの勉強を終えていたため、数学では大学院の入学試験用の問題集と過去問、英語は趣味の村上春樹を英語版で読む等、結構楽しく勉強していました。英語は勉強するというよりも使える範囲で使って慣れる、という感じだったので、たまに英作文の参考書を見直す以外は勉強時間に入れていません。

 

また、受験に慣れるために山口大学の工学部を受験しました。

一応東大を目指していたので、山口大学の数学は時間が半分余って全問完答出来ました。これは大きな自信に成りました。

 この頃に学校で実施されたTOEICのIP試験を受けました。

特にTOEICの対策はしていませんでしたが、微妙にスコアが伸びました。

 

使った参考書

詳解 大学院への数学 (改訂新版) | 東京図書編集部 |本 | 通販 | Amazon

 

 TOEIC

845(提出)


 試験当日

当日は前々日入りしました。

親が「東京に緊張して受験にも緊張したらダブルで緊張するから一日東京にいた方がいいのでは?」と言ってくれたからです。

お陰で東大のキャンパスの周りを一周歩いたり(不審者)、東京ドームまで歩いて言って無印で無地のシャツを買ったり出来て楽しかったです。

シャツを買ったのは、受験当日に着ようと思っていた服に英単語が書いてあったからです。前々日入りして気づけたのはラッキーでした。

コロナが怖いので基本的にはホテルでUberを取っていました。

 

前日にはmoet君と湯島天満宮に絵馬を描きに行きました。2人で「東大合格 19歳 名前」

と記入したため、浪人生が2人で来たみたいに成りました。御神籤を引いたら、彼は大吉で僕は末吉だったので、引かなければ良かったと思いました。

 

ちなみに湯島天満宮の御神籤には「恋愛」の欄が無く、恋神籤が別売されています。しかも恋神籤の方が値段が高いです。

僕はその事が気になったので2次試験前日に湯島天満宮で1次試験合格の報告のついでに両方買ってみました。

恋神籤の方には大した事は何も書いてなかったのでお金を無駄にしましたが、今度は普通の御神籤が吉でした。まぁ悪く無いかなと思って2次試験の面接に臨めました。

 

1次試験の本番は緊張しましたが、英語で手応えがあったので自信は有りました。

数学は試験中に緊張で御手洗いに行きたくなって「終わった」と思いましたが、試験官の方に申し出ると快く一時退室の許可を頂けました。

 

受験中は手を上げればトイレに行けるので行きたく成ったらさっさと行きましょう。

時間のロスは1分ぐらいですが、我慢すると集中力がずっと下がりっぱなしになります。

しかも僕は御手洗いから歩いて帰る途中に大問1の解法を思いついたので、試験中に御手洗いに行きたく成っても我慢する事も気に病む事も無いです。

 


モチベについて

モチベーションについて書いておきます。

僕が東大に合格できた一番の理由は「モチベーションの作り方」が上手かったからです。

モチベーションについて思うのは、「きっかけを余り重要視しない」ことが大切なのではないかと考えています。

どんなに大層な理由があっても落ちてしまえばそれまでですし、正直「かっこいいから」というのが東大を受験するときのモチベーションです。

 

後は合格するためには何が必要なのか、ということを具体的に考えて、それを身につけるためには何を勉強すれば良くて、そのためにはどの本を使って1日にどのぐらいの勉強量を習慣化すれば良くて、その習慣を身につけるためには自分の生活のどこを見直せばよいのか、、とやる事を具体化していって、とりあえず初めてしまえば意外と楽しく勉強出来ると思います。

 

ということで、最高にしょうもなくてかっこいいモチベ動画を貼ってきます。

これを観て「東大行きたい」と思うぐらいのノリの良さは大事だと思いますw。

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”loneliness"と"solitude"について

進学に弱い高専から旧帝大レベルに行くためには、周りの人と同じことをしていたら絶対に無理です。そのためには、ある程度独りの時間と空間を作って自分がやりたいこと、やるべきことに没頭する必要があります。

 

「独り」と聞くと多くの人がイメージするのは"loneliness"の方だと思いますが、

僕の言う「独り」とは"solitude"のことです。

僕には今3歳の弟がいるので幼児を例に上げて説明すると、

「親が育児を放棄してしまった状態」にある子どもは"loneliness"の状態です。

一方で、「親の愛情を受けて安心して自分の部屋で一人遊びが出来る状態」が"solitude"の状態です。

 

もう少し詳しく知りたい方は東大の2017年の一般入試、英語の問題でこの話題が取り上げられているので読んでみてください。

note.com

 


大学編入試験は、一般入試と比べて試験自体の難易度は簡単ですが、

周りの学生が全員受験勉強をしていて、試験に関する情報も溢れている

一般入試に比べて、編入試験では、誰も受験勉強なんてしていない環境でモチベーションを維持し、過去問を分析して自分で傾向を予測し、自分の学力を高めるための工夫と努力を自分の力でする必要があります。

 

僕は、編入試験の真の難易度はこの「受験勉強を自らする過程」にあると考えています。このような経験が出来るのは貴重なことですし、何よりも自分のモチベーションの上げ方、自分の得意なことと苦手なことは何か、一日で集中できる時間帯はいつか、等を考えることを通して「自分を知る」ことが出来ます。

このことは、進学にあまり強くない高専から大学を受験することを通して学んだ事の中で、最も大事な事の1つです。

 


編入するならやっぱり学力で

高専から大学編入試験をする際には、学力試験であれば大学をいくつ併願しても良い、

というのが大きな特徴です。

一方で、推薦入試を選択すると、学費免除等の特典が付いてきますが、合格した場合は確約が前提になります。

そのため、「大学編入をするなら、学力試験で東大を受けるべき」だと考えています。

勿論、学力試験は実力で決まるので努力して学力を身につける必要がありますが、

大学に入った後のことを考えても学力は必要ですし、東大を目指して勉強しておけば大体の大学編入試験には滑り止めとして対応できます。

 


編入生にとっての東大の魅力

東大は他大学の3年次編入と異なり、2年次編入となります。

これは、東大の「進振り」という制度に起因しています。

東大の一般入試では、理1、理2、理3、文1、文2、文3の6つの枠で学生を集めた後、1年次と2年前期の成績と学生の希望を元に2年後期から学部、学科に別れます。

この制度を「進振り」といいます。

僕たち高専生は、この2年後期から工学部の志望学科に編入する形になります。

そのため、

・2年前期は好きな教養科目を好きに勉強できる。

・学科での人間関係が0からスタートする。(転入生みたいに成らない)

・専門を大きく変えることが出来る。

というメリットが有ります。

これは高校生や大学生に比べて一般教養、コミュ力において劣る傾向にあると言われる高専生にとっては大きなメリットでは無いでしょうか。また、中学生の時になんとなく選んだ専門科目を変えてみたい、という高専生にとっても魅力的です。

 

もしも今大学編入を考えていて、志望大学に悩んでいるのなら、是非、東大にチャレンジしてみませんか?

 

 追記 1次試験対策について

学力試験の対策についての追記しておきます。

勉強方法は人によって違うのであくまで参考程度にお願いします。

 

まず、数学に関しては基本的に編入試験対策用の問題集を網羅的に解いて、分からない問題が無いようにしておけば問題有りません。

過去問研究、大学編入のための数学問題集、過去問演習、徹底演習

の4冊をしっかりやるのが基本です。この4冊は3周ほどして完璧にしました。

 

僕の場合はこれに加えて大学院入試用の問題集に手を出して強化しました。

微分方程式でいえば、演算子法等が使いこなせると一気にスピードも精度も上がります。また、確率の問題は大学数学寄りの問題が出る傾向にあるので大学院試験用の問題集は参考になります。複素関数編入試験用の4冊では若干心許ないです。

2科目受験の場合は時間的に余裕があると思うので大学院用の問題集の気になるところはやっておくことをおすすめします。

詳解 大学院への数学 をやっておけば十分だと思います。(2冊セットの黄色い本は目を通したぐらいですが、無理して解く必要は無いと思います。面白そうな問題は手を動かしました。)

 

また、数学の試験は「時間があれば解ける問題の内、時間内にどれだけ解けるか」が大切になります。問題集を使って知識を身に着けて演習するだけではなく、本番を意識して過去問を解いてシミュレーションして、自分なりの作戦を立てておくことが特に大切です。

 

英語に関しては、一般入試を意識して勉強しました。TOEICには無い英作文、和訳、長文門読解の問題形式に慣れるには、一般入試用の赤本がベストです。

僕は赤本、鉄壁の単語帳、最難関への英作文ハイパートレーニング等、一般入試用の英語の問題集を使って勉強しました。

 

高専から編入試験を受ける方は、基本的に「TOEIC編入試験対策」の順番で勉強すると思うので、受験っぽい英語に慣れておくことが大切です。

赤本の長文は読んでいて普通に面白いので楽しく勉強出来ました。

問題を解く→分からなかった表現を理解&分からなかった問題を反省→音読を5回、を習慣化しました。

 

2次試験対策について

2次試験の面接は、ここ2年間誰も落ちていないので、余程のことが無い限り大丈夫だとは思いますが、10対1の面接なので、超緊張します。

僕は面接で緊張しまくって支離滅裂なことを言ったので、2次試験の発表までの期間は気が気じゃ無かったです。

そのため、念の為に面接はしっかり準備して挑むべきです。

 

東大の教授の方々に、「これからの日本の都市はどうなるか」といったスケールの質問をされるので、正直何を話しても「僕なんかが偉そうなことを言って本当にごめんなさい」ってなります。

 

しかし、あんな豪華な顔ぶれで面接をして頂ける事も貴重な体験ですし、基本的には落ちることは多分無いので、1次試験に合格した方は東大のキャンパスと面接の緊張を楽しんでください。